第3編第5章 刑弁メルクマール一覧
※類似メルクマールの概念を区別するようにしましょう。
第1 供述の信用性関係
1 供述の信用性(一般)(p.321)
code: 「お客の動機の変遷経緯は合理的」
→(1)お客:客観的証拠との整合性
→(5)動機:虚偽供述の動機等
→(3)変遷:供述内容の変遷
→(2)経緯:供述に至る経緯
→(4)合理的:供述内容の合理性
(1)客観的証拠との整合性
(2)供述に至る経緯
(3)供述内容の変遷
(4)供述内容の合理性
(5)虚偽供述の動機等
2 犯人識別供述の信用性(p.325)
code: 「換気扇が変。補強しよう。」
→(1)換:観察条件の正確性の検討
→(2)気:記憶とその保持の正確性の検討
→(3)扇:犯人選別手続の正確性の検討
→(4)変:犯人識別供述の変遷・詳細化
→(5)補強:補強証拠・他の証拠との符合
(1)観察条件の正確性の検討
code: 「ケンちゃんの基地をお客と主人が観察」
→ウ ケンちゃん:顕著な特徴を挙げているかどうか
→エ 基地:既知証人か否か
→ア お客~観察:客観的観察条件
→イ 主人~観察:主観的観察条件
※要・並べ替え
ア 客観的観察条件
code: 「師匠の傷害に角界は時間の問題」
ⅰ 師:観察者の視力
ⅱ 匠:犯行現場の照度
ⅲ 傷害:観察者と犯人との間の障害物の有無
ⅳ 角:観察者と犯人との距離・角度
ⅴ 時間:観察時間の長短
イ 主観的観察条件
code: 「霊魂に注意。特異な体験で驚愕して狼狽」
ⅰ 霊:冷静であったか
ⅱ 魂:困惑
ⅲ 注意:注意深くみていたか
ⅳ 特異な体験:特異な体験
ⅴ 驚愕:驚愕
ⅵ 狼狽:狼狽
ウ 既知証人か否か
エ 顕著な特徴を挙げているかどうか
(2)記憶とその保持の正確性の検討
code: 「道程は長短だけでなく初めが重要」
ⅰ 道程の長短:再認同定までの期間の長短
ⅱ 初め~重要:初期供述、初期選別の重要性
再認同定までの時間の長短がポイント。1週間が基準。
(3)犯人選別手続の正確性の検討
code:「特徴的な単独犯を複数で逮捕。期間条件は良好」
ⅰ 特徴~複数:目撃者が述べる特徴を備えた写真・人物が一枚・一人か複数か
ⅱ 逮捕:「犯人を逮捕したから確認してくれ」と暗示をかけられたか否か
ⅲ 期間:面割り・面通しまでの期間の長短
ⅳ 条件:観察条件の良好性
☆暗示性を検討する。それだけ理解してれば,メルクマールは不要かも。
code: 「ひじきの係数配列提示方法」
ⅰ ひ:被写体の写り方
ⅱ じき:撮影の時期
ⅲ 係:写真の形式
ⅳ 数:写真の枚数
ⅴ 配列:写真の配列
ⅵ 提示方法:写真の提示方法
ア 写真面割の場合
(ア)写真の形式
(イ)写真の枚数
(ウ)写真の配列
(エ)写真の提示方法
(オ)被写体の写り方
(カ)撮影の時期
イ 面通しの場合
(ア)複数面接か単独面接か
(イ)捜査官の言動「犯人が捕まった」等
(ウ)服装等の演出
(4)犯人識別供述の変遷・詳細化
(5)他の証拠との符合
3 共犯者供述の信用性(p.322)
(1)虚偽供述の動機等
☆共犯者の利害関係を分析して。
ア 自らの刑事責任を軽くするため
イ 真犯人をかばうため,真犯人からの報復を恐れるため
ウ 被告人への報復のため,被告人への恨みのため
エ 捜査過程で受ける不利益を避けるため(捜査官への迎合)
(2)供述経過
(3)供述内容の変遷
4 自白の信用性(p.314)
code: 「お客の動機の変遷を富豪が暴露」
→(1)お客:客観的証拠との整合性
→(2)動機:自白をなすに至った経緯、動機等
→(3)変遷:自白内容の変遷
→(4)富豪:自白内容の合理性
→(5)暴露:秘密の暴露の有無
(1)客観的証拠との整合性
(2)自白をなすに至った経緯,動機等
(3)自白内容の変遷
(4)自白内容の合理性
(5)秘密の暴露の有無
第2 自白の証拠能力(p.260)
1 違法手続下における自白
code: 「別件の長い弁選を黙って貸与」
→(4)別: 違法な別件逮捕・勾留による自白
→3 件: 検察官の遮断義務
→(6)長い: 不当に長い拘禁後の自白
→(2)弁選: 弁護人選任権の侵害による自白
→(1)黙って:黙秘権侵害による自白
→(3)貸: 違法な現行犯逮捕による自白
→(5)与: 違法な余罪取り調べによる自白
(1)黙秘権侵害による自白
(2)弁護人選任権の侵害による自白
(3)違法な現行犯逮捕による自白
(4)違法な別件逮捕・勾留による自白
(5)違法な余罪取り調べによる自白
(6)不当に長い拘禁後の自白
2 違法不当な取調べによる自白
code: 「刑弁教官、病中でも義理人情」
→(4)刑: 長時間の継続的取調べによる自白
→(8)弁: 弁護権侵害による自白
→(2)教: 暴行脅迫その他強制による自白
→(5)官: 代用監獄での留置業務を不当に捜査に利用して得た自白
→(7)病中:病中の取調べによる自白
→(1)義理:利益誘導・偽計による自白
→(6)人: 違法な任意同行を利用して得た自白
→(3)情: 手錠を施したままの自白
(1)利益誘導・偽計による自白
(2)暴行脅迫その他強制による自白
(3)手錠を施したままの自白
(4)長時間の継続的取調べによる自白
(5)代用監獄での留置業務を不当に捜査に利用して得た自白
(6)違法な任意同行を利用して得た自白
(7)病中の取調べによる自白
(8)弁護権侵害による自白
3 検察官段階での自白
「遮断義務」というキーワード
第3 情況証拠からの事実認定
1 殺意
code:「玄ちゃん今日どう?そうしよう?」
→(4)玄 : 犯行前後の言動
→(2)今 : 凶器の種類・用法
→(3)どう : 動機の有無
→(1)そうしよう:創傷の部位・程度
(1)創傷の部位・程度
(2)凶器の種類・用法
(3)動機の有無
(4)犯行前後の言動
※刑裁や検察では,上記メルクマールを並列的に検討するのは,あまりよくない。なぜなら,各メルクマールは,殺意を認定する上では,並列的な位置づけではなく,被告人の実行行為がどうだったのか,を解明する視点だからである。 しかし,刑弁の役割は,あくまでも認定ではなく弾劾なので,上記メルクマールは,それぞれ,弾劾の視点として使える。よって,まずは,各メルクマールの観点から,殺意をねちねちと否定していくほうが賢い。(点数になる。) 2 共謀
code: 「謀議後の行動に関係したキヨには動機あり」
→(1)謀議: 謀議行為その他の意思疎通行為
→(4)後の行動:犯行後の行動
→(5)関係: 被告人と共犯者の関係
→(2)キヨ: 役割分担・犯行への寄与
→(3)動機: 動機
(1)謀議行為その他の意思疎通行為
(2)役割分担,犯行への寄与
(3)動機
(4)犯行後の行動
(5)被告人と共犯者との関係
第4 情状
犯情事実と一般情状事実を区別すること!
1 犯情事実
(1)犯行に至る経緯,動機,目的あるいは有因,事件の社会的背景事情
(2)計画的犯行か偶発的犯行か
(3)犯行の手段,方法,態様
(4)結果発生の有無,程度
(5)被害回復の有無
(6)共犯事件の場合の主従関係,役割分担,犯罪利益享受の有無・程度
(7)被害者側の落ち度又は事情の有無(帰責性)
(8)犯行直後の被告人の言動,その他犯行後の状況
(9)事件の社会に対する影響
2 一般情状事実
(1)被告人の年齢
(2)学歴,経歴その他生活歴
(3)性格,健康状態
(4)職業の有無及び地位・収入・資産
(5)日頃の勤務状況
(6)日頃の生活状況
(7)家庭その他の環境
(8)保護監督者の有無
(9)前科前歴,非行歴の有無,特に同種前科前歴の有無
(10)粗暴癖,盗癖,酒癖,薬物依存傾向,性犯罪傾向等の性癖の有無・程度
(11)遵法精神の有無
(12)反省の有無
(13)被害者への謝罪の意思と被害弁償の努力
(14)示談の成立と被害者の宥恕
(15)贖罪の寄付
(16)家族,雇用主の監督制約の有無
(17)長期間の勾留による事実上の制裁の有無
(18)職場の解雇,会社の倒産,社会的信用の失墜等による社会的制裁の有無
(19)生活環境の整備,改善
(20)社会事情の推移
(21)関連法規の変動
(22)再犯の可能性ないし更生の可能性の有無
(23)その他被告人に有利なあらゆる事情